以前書いていたおいらとタイを綴った「タイにまつわるエトセトラ」

おいらはタイを訪れるまでにその機会を3度逃すのファーストコンタクト。

おいらはタイを訪れるまでにその機会を3度逃すの2度ある事は3度あるんです。

背中をポンっと押された瞬間、おいらの夢を乗せてバスも走り出した様な気がした。

の続きとなります。大して面白くも無いですがもしよろしければ読んでみてください。

 

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名古屋空港を飛びだったタイ航空645便は約6時間の飛行の末、タイのバンコクに着陸した。

飛行機と空港をつなぐボーディングブリッジに出た途端、むわっと暑い空気に包まれ、南国に来た実感に包まれる。

ついに念願のタイにやって来たのだ。

空港はまだスワンナプーム国際空港では無くドンムアン国際空港で、デザイン的にも古くさい感じがする空港だったがそれが余計にタイらしさを演出し、空港内は日本とは違った独特の匂いを感じていた。

イミグレーションを抜け、荷物を受け取り税関を抜けるとそこはカオスと呼ぶにふさわしい情景だった。

税関出口の両側に大勢の出迎えが並び名前の書いたカードを掲げそれぞれの待ち人を探している。

おいら達はこの中からJTBのスタッフを見つける必要があったが、JTBのスタッフの方が先においら達を見つけてくれた。スーツケースにはJTBのタグが付けてあるからすぐに見つけてもらえたのだ。こんな単純な事にも初めてのタイ、暖かい南国で頭のネジが緩んでいたんだろう、妙に納得してしまった。

「これから大きいバス来ます。アユタヤ行きますね」

ツアーのガイドさんと合流して最初の目的地アユタヤへ向かう。

ガイドさんは大きなバスと言っていたが、ツアーの参加者は全部で10人程度だったからそれほど大きなバスは来ないだろうと思っていたら50人は乗れるであろう大型の観光バスがやって来たので驚いた。

そしてツアー参加者の人数に対しては大きすぎるバスは古都アユタヤに向かって走り出したのだ。

ドンムアン空港周辺は都会だった。

建設途中の高架鉄道、遠くに見える大きなビル、賑やかな街、行き交う車、巨大な看板を見ている限りタイは比較的近代的な国だと思ったのだが、まだ空港を出て30分しか走っていないというのにアユタヤに近づくにつれ田園風景が広がり、高い建物は何も無くなった。

近くの席に座っていたツアー参加者の年配の女性が「貧富の差が激しいわね」とつぶやく。

それほど貧富の差を感じる景色では無く、バンコクは都会でこの辺りは一般的な田舎のタイなんだろうと、ただそれだけの事なのにと思ったが嫁の顔を見ると嫁も不思議そうな顔をしていた。

多分おいらと同じ事を思ったのだろう。

空港を出発して2時間くらい走っただろうか、バスはアユタヤに到着した。

アユタヤ・グランドホテル、名前も立派だが建物も結構立派だった。内装は木材が多く使われていてタイらしくていい感じ。南国の暑い気温、長旅で疲れた体、少し喉が渇いていた所にウェルカムドリンクとして提供されたレモングラスジュースは甘く冷たく美味しかった。今でもおいらがレモングラスジュースを好むのはこの時の記憶が蘇るからだろう。

ホテルにチェックインして少し落ち着いた後、初めてタイの街に出てみた。

アユタヤ・グランドホテルの前はちょっと賑やかな市場になっていて果物を売る屋台、衣服や小物を売る屋台が沢山あり人々の活気に満ちあふれていたが初めてのタイで緊張していたのだろうか、恐怖感を覚え何一つしっかり見た記憶が無い。

夕食の時間、ガイドさんから伝えられた時間にホテルのロビーに集まりアユタヤ・グランドホテルにあるレストランでタイでの最初の食事。ツアー参加者全員で席を囲み、初めて食べるタイ料理だったがどちらかと言えば中華料理に近い料理ばかりが提供されてちょっと残念だった。きっと最初の食事は日本人の口に合いそうな料理が選ばれていたんだと解釈した。

薄暗い部屋、全く水の勢いが無くドボドボと流れ落ちるシャワー、まるで滝行の如くシャワーを浴びる。

グオングオンとうなり声を上げながら必死に動くクーラーからは若干ひんやりとした空気が押し出されてくる。

タイ初日の夜を終えて、キッキッキッというヤモリの声を聞きながらおいらは眠りについた。

朝、いつもと違う空気の匂いを感じながら起床。

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2日目はアユタヤ遺跡の観光、ワットチャイヤイモンコンを観光した。おいらも嫁も遺跡好きなので妙にハイテンションな感じで遺跡に萌え萌えするが時々考えさせられる部分もあった。仏像の首が全て切り落とされている。首なしの仏像が並び、首だけの仏像が無残に置いてあったり、木の根元に放置され長い年月をかけて根が絡まりついている有名な仏像を見た。

ガイドさんの説明ではアユタヤ王国の末期にビルマ(現在のミャンマー)がアユタヤに侵攻した歳に仏像の首を全て切り落としたそうだ。その後いくつかの遺跡を回ったが時々ガイドさんが少し険しい表情を見せながらつぶやく「ビルマのせい!」

昼食はアユタヤリバーサイドホテルにあるレストランのブッフェだった。

JTBのツアーらしくブッフェではあるがお勧めの料理を一品提供してくれる、このツアーでは蒸し鶏肉のせご飯の「カオマンガイ」が出された。鶏がらのだし汁でご飯を炊き、蒸し鶏がそのご飯にのっている。辛いくてちょっぴり味噌っぽい味のするソースをかけて食べるのだが一口食べただけで全てを理解してしまう。美味なのだ。

ブッフェには他にもタイ料理があった。トムヤムクン、カノムジン、ソムタム、バミーナーム、グリーンカレーにレッドカレー、ガイドさんに教えてもらい一口ずつでも食べた。ブッフェのいい所は色んな味を少しずつ試せる所。ここで一気にタイ料理の魅力に取り憑かれてしまった気がする。

タイに来て良かった。心からそう思った。嫁もきっと同じ気持ちだっと思いたい。

夕方、少し暗くなった頃アユタヤ遺跡のライトアップ観光に出かける。遺跡の周りには外灯も無く、民家もない。ただライトアップされた遺跡があるだけだったが、明るいランプに照らされた遺跡はキラキラと輝きとても美しいとしか表現できなかった。

電気工事の仕事をしていた時、タイ出張の話があった遺跡のライトアップ工事とはこれをする工事だったのだと実感したが少し残念な気持ちにもなった。あの時、この美しい遺跡の為に仕事をしたかったと思ったが隣を見るときっと遺跡ライトアップの光が瞳に反射していただけなのだろう、目を輝かせて遺跡を見ている嫁が立っていた。

もうどうでもいい、今おいらは間違いなくタイにいる、そしてその頃はまだお付き合いを始めたばかりの嫁も一緒にいる。二人してタイに呼ばれたのには意味があるんだと信じて、タイ旅行2日目の夜が終わった。

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