おいちゃん「船のってこい!」
我々「じゃあ、ここで待っててねー」
寒かったなー。本当に寒かったなー。
でも、興奮が疲れを吹っ飛ばす。
ギリギリ日の出前に到着できた。
何組か団体さんもいるみたい。平日だからか人出は少ない。
せっかくだから日の出とともに花が咲くの見たいじゃないですか。
早速船をチャーターする。二人分と告げると大きい船と小さい船が選べると言う。
「では、小さい船を」
せっかくだから他人さんと一緒じゃなくて二人で乗りたい。
「小さい船は細くて長いやつだよ」と係の女性は説明してくれた。
小さい船は一人当たり100B。支払いを済ませ、岸辺に降りる。
船頭さんにチケットをもぎってもらいます。
細長ーい船だ。ゴザが敷いてあり、靴のままであがっていいという。
ただ、バランスが重要らしく、あなたはあっちむけに座れ、旦那はこっち向きに座れ、と指示されちょっと大変。私は、船の真ん中であぐらをかいてすわり、旦那は舳先を正面に座る結果に。
あれ?雑誌広告のような「ラブラブ」に座れないぞ?
太陽がのぼりはじめ、だんだん背中が温かくなった。
「太陽ってほんとうに暖かいね」とふたりでしみじみ。
エンジンスタート。
少し進んだだけで夢にまで見た光景が広がります。
ほとんどが団体客でみんなで乗れる大きな船を選んだようです。
小さい船はわたしたちだけ。
小さい船はすこし手を伸ばせば蓮の葉にも触れられるくらい水面に近い。
これらの船は遊覧しながら時々停まっては撮影タイムをくれます。
睡蓮の花は思っていたよりおおきくて、花弁もしっかりしていました。
色が鮮やかでとても美しい。
小さい船は睡蓮が群生しているけっこう中まで入り込んでくれます。
最初はせっせと撮影していましたが、途中でやめました。会話もしなくなりました。
お互い言わなくても、わかりました。
目に焼き付けることにしたのです。
太陽がまあるい姿をあらわし、無数の睡蓮の花がゆっくりと開きました。
最初写真をみたときは、こんな夢のような天国のような場所があるのかと思いました。
でもここは三途の川のようです。
とてもとても静かで、見渡す限りピンク色の睡蓮。時々聞こえるのは鳥の鳴き声だけ。
いま、ここにはわたしと旦那と船頭さんしか居ません。
あの世へ行く覚悟を胸に心静かに進むんです。
いま、わたしは三途の川の下見をしているんだなーとぼんやり思いました。
この景色を絶対に忘れないでしょう。
都合三カ所程停泊してくれて、船頭さんはのんびり船の旗の補修をしたり、船底にたまった水をかい出したりとわたしたちをのんびり待っていてくれました。
小さい船は大きい船より群生の中に入ってくれるし、重くないからスピードも出るので、大きい船をどんどん抜かして走るのも楽しかったです。
とても素敵な1時間でした。
(つづく)
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